新卒就活生が気になる【新卒手取り】 ハウマッチ!!
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もくじ
新卒手取りとは?
″社会人″になるということは、給料をもらう立場になるということ、そして、そのお金で生活していくことでもあります。したがって、きちんと給与の仕組みを理解しておくことが必要です。
今回は、新卒就活生にとって重要な「新卒の手取り」とそこに対する「労働時間」や新卒手取りの平均や計算方法などに関して説明していきます。
額面給与と手取り給与の違い
「初任給で振り込まれた金額が給与明細の額面とを見比べて、少なかった(泣)」とショックを受けたというエピソードをよく聞きますが、なぜそのような事が起きてしまうのでしょうか?
額面給与とは
基本給+各種手当(残業代や交通費)
一般的に「月収」や「年収」はこの金額のことを指しております。「初任給」に関しても同じです。
手取り給与とは
基本給+各種手当-社会保険料や税金など
が控除された金額のことを言います。(詳しい計算方法は見出し3で説明します。)
求人情報欄には、ほぼ全てにおいて月収、つまり額面給与が記載されています。
ですが、実際には各種保険料、税金等が引かれた金額(=手取り)が振り込まれるため、「あれ、足りない!?」となってしまうのです。
新卒手取りの平均は20万1100円
厚生労働省の調査によれば、2018年の大卒者平均初任給は20万6,700円でした。
その場合の手取り金額は20万1,100円程になります。
手取りの平均値は上昇傾向に!
上昇している主な理由は、ここ数年続いている人手不足です。また就活期間中、業界では企業同士で″優秀な人材の取り合い″になります。ですから、初任給を高くすることで″1人でも多くの才人に入社してもらう″ことに繋がるとともに、″入社を早期に決めてもらえる″という戦略でもあると考えられます。
新卒手取りの計算方法
手取り額の計算は、支給額および各控除額が正確に分かっていればとても簡単にすることができます。ある例を元に、控除の項目とその内容ついても合わせて見ていきましょう。
初任給から引かれる項目
手取り金額=20万1,100円
=20万6,700円-雇用保険(620円)-所得税(4,980円)
・雇用保険=失業した際に失業給付金を受給するための保険。給与の0.3%が引かれます。
・所得税=個人の所得に対して発生する税金のこと。
以上のように″初任給″は、額面給与から5500円程度引かれた金額が手取りとなります。
しかし、翌月以降からは健康保険料、厚生年金保険料も差し引かれるため、大幅に手取り額が減ります。
初任給翌月から引かれる項目
手取り金額=17万3,068円
=20万6,700円-雇用保険(620円)-健康保険料(10,241円)-厚生年金保険料(18,791円)-所得税(3,980円)
・厚生年金保険料=将来、年金を貰うために支払うお金(企業と労働者で折半した規定の金額が引かれる)
・健康保険料=医療/治療費の自己負担額を軽くするための保険(企業と労働者で折半した規定の金額が引かれる)
※上記2項目は前月分を翌月に控除します
参考:https://journal.rikunabi.com/p/advice/30109.html
時給換算もした方が良い
ほとんどの就活生の方は″働いた時間分のお給料を貰う″いわゆる時間給の制度の下でしか働いたことがないと思います。だからこそ、「初任給を時給にしたらいくらなんだろう?」と、考えたことのある人も多いのではないでしょうか?
その「時給換算していくらになるか」と言う考え方は、実は給与を検討する上で非常に重要な要素になります。
時給換算の計算方法
(例)初任給22万円の場合
・1ヶ月の勤務日数…20日
・業務時間1日あたり…8時間(9時〜18時/休憩1時間)
・1ヶ月の業務時間=20×8=160時間
(※就任してすぐの研修期間中の残業はあまり予想されないため残業時間は含んでおりません)
その場合時給は…
22万÷160=1375円 となります。
時給換算はなぜしたほうがいいの?
時給換算をするべき理由は、「初任給は高いのに、労働時間や労働内容を加味したらとんでもなく低かった!」というケースを防ぐためです。
前述した平均初任給の20万6700円を時給換算すると、初任給の平均時給はおよそ1292円となります。
この金額から、最低賃金・正社員という観点も鑑みると少なくとも1050円はないと一般的には良い労働環境ではないと言えます。
また、時給換算を考える上で重要な要素となるのが、残業についてです。
労働基準法により、原則1日8時間・週40時間を超える労働は「法定時間外労働」として、別途、手当て(割増賃金)を払うように決められています。
ただし、ここで注意すべき点は「残業をすればするだけ手当てが支払われるというわけでは無い」ということです。
「みなし残業」をご存知でしょうか。
「みなし残業」って何?
みなし残業(=固定残業制度)とは、賃金や手当ての中に、あらかじめ一定時間分の残業代を含ませ、固定して支払う制度です。
例えば「月40時間の残業を含む」と雇用契約書に記載されている場合は、文字通り月40時間までの残業代は賃金とは別に支給されないのです!
ですから、実際に時給換算する際には″残業も含めた労働時間″で計算をし、正確な″時給″を知ることが重要です。
企業説明会等でも「残業制度」について耳にすることはあると思います。
就活生という早い段階から、これを意識することで、今後の企業の選び方に大きく変化が出るでしょう。
業界によって大きく異なる
ひと言に「初任給」と言っても業界・企業ごとにその値は違う というのが事実です。
では、どのような業界において初任給が高い傾向にあるのでしょうか?
《新卒年収高い業界 3選》
IT企業 | 300万円前後 |
コンサルティング | 400万円以上多数 |
外資系 | 500万円以上多数 |
就活難易度が高いコンサル・外資系は、その求められる能力の高さから、新卒年収の時点で高額であるケースが多いです。
また、全体に共通して言えることは″理系″の職種は比較的、高額であるということです。
理由としては、専門的な知識を求められる分野が多いためでしょう。
以下の記事では人気の業界に絞って初任給ではなく全体的な給与の平均値や考察をしています。
地域でも初任給は異なる
初任給は都会など発展した地域で高くなる傾向にあります。
例外として、医療/福祉などの過疎地域(=少子高齢化が際立っている地域)で人員が特に不足している分野は、高めの給料設定をして人員募集を促しています。
おまけ 初任給が高い企業ランキングTOP5
会社名 | 初任給 |
日本商業開発 | 500,000円 |
アビームコンサルティング | 340,300円 |
北の達人コーポレーション | 340,000円 |
セプテーニ・ホールディングス | 336,350円 |
フューチャー | 320,000円 |
それぞれどんな会社?
・日本商業開発…「JINUSHIビジネス」に特化した、東証一部上場の不動産デベロッパー
・アビーム…アジアを基点としているグローバルコンサルティング会社
・北の達人…北海道の原料を使った健康美容商品を販売する会社。ECサイト運営も行う
・セプテーニ…インターネット、動画広告を主に扱う広告事業会社
・フューチャー…日本初のITに特化したコンサルティング会社
初任給の裏側を理解し、企業選びに生かそう
いかがでしたでしょうか?
初任給を高く設定する背景には、多くの優秀な人材に早期に入社を決めてもらうといった戦略があります。
ですから、就職先を決めるにあたって″初任給″として提示されている金額をそのままの数字だけで捉えるのはを重視するのはナンセンスです。
また、固定残業制度を採用している企業では、労働時間に見合った給料が貰えないという可能性も想定するべきです。
もし″お金″という観点から就職先を決めるのであれば、企業の初任給だけでなく、労働時間や制度をきちんと理解したうえで失敗しない企業選びをしましょう。